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二見浦 秘境のスイーツ

執筆者 | 6月 21, 2023 | コラム | コメント0件

伊勢市駅前にあった噴水と二羽の白鳥の像。いつものように3兄弟で占拠した後、一番ホームから出る国鉄に乗り込む。二見浦のタミおばちゃん(民子さん)の家に泊まりに行くのは、出口家夏の終わりの恒例行事。

翌朝、おばちゃんの家から3km程の長い道のりを歩き二見シーパラダイス(現伊勢シーパラダイス)を目指す。

まだ小さかった弟は母におぶってもらい、僕は巨人帽を深く被り石ころを蹴っとばす。途中の売店で、おばちゃんが僕たち兄弟に必ず買ってくれたソフトクリーム。まさにポパイのほうれん草のように、疲れて元気がなかった僕たちに笑顔と力が甦り、母とおばちゃんを引っ張って秘境へと入っていく。

あれから約35年後の6月、4倍大きくなった身体であの頃と同じ景色を見ていた。

秘境から仕事の依頼を受けたテーマはスイーツ。トドの咆哮の如く迷いなく直ぐにメニューが浮かんだ。

「あいつらが喜ぶ日本一のご当地ソフトを作ろう。」

ベースのクリームから何十種類もテイスティングし、そこに伊勢醤油と蜂蜜を合わす。伊勢古仁屋さんのわらび餅に、伊勢茶きな粉をまぶしてトッピング。贅沢なスイーツソフトが誕生した。

数少ない家族旅行の思い出。あのやかましい兄弟達もきっと喜んでくれると思う。まわる まわる 時代はまわる。僕の道草探しも生涯終わらない。